Mr.Clice 秋本治

前回までのあらすじ

ストーリー

 国家特別工作機関(特工)のエージェント・繰巣 陣(くりす じん)は任務中の事故により死亡。しかし、最優秀であった彼を失うことを良しとしない特工の判断により、女性テニスプレイヤーの死体に脳を移植することで、女として復活。女性エージェント・クリスとして様々な任務を言い渡されるが、圧倒的なスキルによりそのことごとくを遂行していくのだった。


 この頃、キューバに優秀なタクシー運転手が現れた。旅行客に完璧なガイドをし、マシンは新品パーツを吟味し自分でチューンナップ…しかも他の追随を許さない運転テクまで兼ね備えた美人運転手…そう、その正体はクリスであった。
 ひと月前、クリスは任務の詳細を伝えられないままキューバへ送られるも、着いた先でスリに遭い連絡が途絶。路頭に迷ったクリスが見つけた食い扶ちこそ、タクシー運転手だったのだ。


 機関的にも行方不明になっていたクリスだが、ようやく発見しベラマッチャが迎えに現れる。そこでようやく伝えられた今回の任務内容は、純度の高い全く新しい燃料が秘密裏に製造されているので、その調査だったのだが、クリスは運転技術を見込まれ、その燃料製造をしているラルフから、つっかかる不良集団とのレースバトルに駆り出されるところだった。


 レースはクリスが圧勝。手に入れたガソリンのサンプルは機関で調べられ、業界を震撼させるレベルの新型ガソリンだということがわかった。しかしラルフは、自国のために造ったからガソリンの製造方法は日本に売ることはできないと言う。しかもその意見にはクリスも賛同する。キューバは貧しく、70年クラスの中古車に乗るしかない状況で、給油するだけで性能が蘇るこの燃料はこの国にこそ必要だと語るのだった。「車好き」のクリス故に、この件で日本に有利に働きかけることは無理そうである。


 そんな中、ラルフの妹が誘拐団に拉致されてしまう。クリスはカリブ海から海外に脱出しようとする誘拐団を襲撃し、ラルフの妹のほか、攫われた子供たちを全員救出。ついでに裏で糸を引く人身売買組織もまとめてお縄となった。
 誘拐団討伐の成果を以って帰国したクリス。新型ガソリンの日本への協力獲得を局長に約束し仕事としてキューバに戻るが、そんな気はまったくなく、到着後即ケータイを捨て、キューバの仲間達と余暇を過ごすのだった。

キャラクター紹介
  • 繰巣 陣/クリス
    (くりす じん)
    特工の最優秀エージェント。任務中事故で死亡してしまったが、脳移植により女性の体で復活した。実績を積めば男の体に戻すという言葉を信じ、日夜無理難題な任務に挑む。
  • アレキサンダー・ベラマッチャ
    特工のイタリア支部の諜報員。クリスとは男時代からの仲で、現在でもクリスと共に任務をこなし、世界中を飛び回る良き相棒である。
  • 雨笑笑 笑太
    (うひょひょ わらった)
    特工の中央工作局工作局長で、クリスの上司。いつもクリスに難関な任務を言い渡す。クリスは女の体のほうが成績も良く、予算も無いため、男に戻したくないのが本心のようだ。