ダンボールバチェラー 原作:しょうじなつお 漫画:依光涼太

前回までのあらすじ

ストーリー

 男だらけのむさ苦しい倉庫で行う、荷物の仕分けや整理の仕事。毎日同じことを繰り返し、人としての喜びや、やりがいを見失った大人の男たちが詰め込まれた空間に東(あずま)はいた。そんなある日、彼らの職場に一人の美女が現れる。彼女はアルバイトで入った南 凛音(みなみ りお)。突然の異常事態に沸き立つ男たち…誰もかれもが彼女の目を意識し小奇麗になっていく中、一歩引いた目で男たちの戦いの始まりを目の当たりにした東。勃発した倉庫内恋愛サバイバルに、東の選択は―――!?


 南の登場に、一番湧き、一番最前線で倉庫内恋愛サバイバルに名乗りを上げた大友に異変が起きていた…“元に”戻り始めていたのである。
 南を中心に活き活きと倉庫仕事をこなすオジさんたち…しかしいつの間にか大友は南が現れる前の濁った眼で、そんな様子を眺めるだけになっていた。身なりを整えることも、本を読んで勉強することも、前向きな言葉を使うことも、いつしか“しない”自分に、自分だけ戻ってきていることに気づいた大友は、集中力を欠いた結果重大なミスを犯してしまう。


 大友が、頼まれた荷物を適当に放置してしまったために、ダンボールが一つ行方不明になってしまう。終業間際、うず高く積まれたダンボールの城からバイト全員で捜すことになってしまうのだった。
 東が、大友に手を差し伸べ、一緒に捜そう と前向きな言葉を向ける一方、大友は遂に抱えていた感情が爆発してしまう。甘えて、妥協してこんなところに吹き溜まった自分たちは一生変われない、南を射止めることなんてできないと、言い切るのだった。
 そこへ北白が追い打ちをかける。自堕落な連中が今更誰にだって出来ることを必死にやったところで何も変わらないと、しかしどこか北白自身も何かから目を背けるように言う。


 そんな北白に反論したのは南だった。誰にでも出来る事ですら必死になれない人間は、きっと、誰にも出来ない特別な何かにも必死になれない…全ては地続きなのだと言ってのけるのだった。それでもなお、北白は東に、自分の才能の無さに絶望して、きっとすぐ漫画を描くことも辞めると言うが、東は毅然として、逃げ回ることよりも、立ち向かうことのほうが、必要なのは勇気だけだから、ずっと簡単なんだと反論するのだった。
 みんなで鼓舞し合い、大友も輝きを取り戻し、倉庫内は活気に溢れる。その輝きを北白は遠く、後ろ暗く見つめるのだった――――…。

キャラクター紹介
  • 東 起助(あずま おきすけ)
    漫画家志望の32歳。この倉庫でのアルバイト歴は4年。日銭を稼ぐぬるま湯生活に甘んじて、最近は漫画もロクに描けていない。突如現れた南にドギマギしながらも、ほかの男たちより一歩引いたスタンスでいる。
  • 南 凛音
    (みなみ りお)
    倉庫に舞い降りた女神。もといアルバイター。声優を目指しており、講師に声優は体力勝負と言われたため、体力をつけるためやってきたのだという。現在彼氏はいない模様。
  • 大友優心
    (おおとも ゆうしん)
    元サラリーマンの40代男性。この倉庫のバイトは8年目。小太りなうえ、見た目や周りの目をまったく気にしない男だったが、南の登場でまずは髭を剃り、彼女を射止めるべく行動を開始する。
  • 北白翔太
    (きたしろ しょうた)
    東たちがバイトとして働く倉庫にいる正社員。清潔感溢れる所謂イケメンだが、実は腹黒くアラサーでも夢を見続ける東や南も、南に群がるおっさんたちも嘲笑の対象。南を狙っているが純真な心持ちではないようだ。